Magazine No.4

不動産を捨て可動式住宅をシェアして暮らす―住宅×シェア×テックで、どこでもドア完成?

2020.07.09

不動産を捨て可動式住宅をシェアして暮らす―住宅×シェア×テックで、どこでもドア完成?

2018年11月に開催された第2回「LivingTech カンファレンス」。『POST2020』をテーマに掲げ、2020年から5年後の社会を考えるトークセッションが展開されました。人口減少、少子高齢化、過剰供給……。社会課題について交わされた13セッションの中から、「シェアリングエコノミーでどうLiving techを変えていくか」と題して行われたセッション(全6回)の3回目をお届けします。

登壇者情報

不動産から可動産へ、自動車に住み暮らす未来

東克紀氏(以下、東) YKK APの東です。一人だけメーカーで場違いな感じもするんですけど。

東 克紀:YKK AP 経営企画室 事業開発部 部長。入社から13年間 商品開発部門、その後 セールスエンジニア部門、社内選抜社員による経営学プロジェクト参加などを経て、2014年から現職。新規事業開発のみならず、素材開発、商品企画、社内人材育成などを通して、現代の課題に対し柔軟な解決を目指しながら、これからの建材の可能性を追求している。

今ちょうど韓さんが人の話をしてたんで、今日は、テーマに入れてないんですけど、本当に住宅業界は職人不足で、家を発注しても大工がいなくて家を建てられない。そういうところで今、住宅のパネル化に注目しています。

パネルで家の外皮をフレーマーさんたちが一気に組み立てて、あと大工さん一人で家の中を仕上げるという体制ですね。

そのパネルに窓や断熱材を入れたりするのは昔から取り組まれていますが、さらに何かできないか?ということで、さっきのコストの削減も色々あったんですけど。やっぱり職人さんの手配までを含めてやりたいと思ったんです。さっきの韓さんの職人組織のやつ、ちょうど僕も職人の組織を考えていて、物と組立てる人をセットにしないと誰も見向きもしてくれないんですよね。

結局パネルを作ったとしても、その先の職人がいないと見向きもしないので、セットでうまくできないかなという発想を各方面のプロ達と具現化に向けて進めています。

ネットで引くと「HOMEiLAND」。島なんですけど、そこにたくさんの中小のビルダーさんが入島してもらって、家をパネルで作っていく仕組みづくりをやってます。

YKK APの中で異端児で変人と言われてるんですけど、ウチの会社はガチガチで固い体質の会社なので、新しい事をなかなか受け付けない。でも私はその中で新しい事を進めるのが役割なので、社内の風当たりは凄く強いですが、今はなんとか予算を立てて動けています。さっき「未来ドア」の動画やってたじゃないですか。あれは、未来窓プロジェクトの第三弾です。

重松 いつからスライドの話を(笑)?

 まだちょっと(笑)。本当はこんな話をする予定はなかったですけど、職人さんの話をされたんで、まさに今やってることとぴったりだったので。

重松 なるほど。

 本題に戻ると、YKKグループは世界で約47,000人いて、約7,400億の売上です。建材だと約4,200憶円の売上なんですけど、やっぱり家が減っていくと窓も売れなくなるし、工場も必要なくなります。

この先どんどん新しい事業を展開していかないといけない、さっきの住宅の話もそうなんですけど、僕の役割は、売上を追加する事業の特にシード部分を生み出すことです。それで予算を色々使わせてもらってます。あと2年で成功しないと、首が飛ぶ状態ですね(笑)。

さっきの未来ドアは少し先の未来を見せる部分、うちの会社は本当は新しいことやるのが苦手だし、投資することもほとんどしない会社です。なので、会社の外に出してある程度認知度を上げてから社内で進めやすくするのと、あわせてちゃんと根元から利益の出るテーマも並行してやってます。

これはその中のひとつで、家を建てれば窓もドアも絶対ついてくるもの、でもなかなか付加価値が生み出せないんですよね。昔からあるけど全く新しさがないので、ここに何か利益がとれる仕組みはないかなと日々考えている中のひとつです。

先ほどシェアリングの話があったんですけど、交通のモビリティサービスがありますけど、ひとつのインターフェースで全部繋がっていく仕組みですね。

この絵の中で一番右に家がありますが、なかなか建材はアナログでこういう所にあまり入れません。仕組みじゃなくてどっちかというと窓とかドアとか単品で成り立ってるものですね。なのでなかなか仕組みに入れないのが現状ですね。

世の中も所有からシェアに変わってるところと、あともう1個は家で、家がだんだんダウンサイジング化してて、不動産から可動産、要は動産ですね。

昨日も建材展へ行ったら中国製のトレーラーハウスがありましたけど、内装まで入ったセットで250万です。

重松 250万ですか?

 なかなかオシャレなやつで、僕も考えてる中で250万は到底難しいなということもあるんですけど、小さくなっていくとだんだん不動産が動きやすくなって、可動産になってくるのが見えてきています。

先日YADOKARIさんから聞いたんですけど、コンテナハウスの展示会をしたら、購入問い合わせが3日で4,000件来て、なんと7割が高齢者だったんですね。

もちろん家もお金も持ってるんですけど、今自分の住んでる家が広いから、そこは息子たちに譲って、庭先に住みたいという問い合わせが7割いたそうです。

だから結構市場はまだあると思って、こういうのは新しいもの好きの人が住むと思ったんですけど、実はそうでもないというのが最近見えてきて。

もう1つが、これはちょっとYKK APとしては危機感です。

HONDAの家モビを見に行ったんですけど、この辺の左側が、要は家の一部にタイヤが付いて動き出すもので、だんだん自動車の領域が家に入りつつあります。

重松 自動車に住めるみたいな。

 これに例えば自動運転が付き始めると、もはや好きなところに住める状態が本当に具現化して、そうすると窓屋とかドア作ってる場合じゃないです。もうひとつ言うと、自動車のドアや窓ってものすごく性能がいいんですよね。

この間もスピード動画をアップして捕まってましたけど、あんな速度で走って、屋根のサンルーフやガラスって空気ひとつ漏れないんですよね。あれが家の窓だったらピューピュー言って大変なことになるんですけど、それくらいアナログで進んでない業界なんですよ。

そこに結構チャンスはあるんですけど、商流とかも複雑化されてるんで、なかなか入ってこれない分野です。しかし今後 ここに他の業界からデジタル技術(システム)が入ってくると本当に負ける会社がいっぱいありますから、そこに備えてやってます。

生活の基盤、家と交通がシームレスにつながる世界

要は何が言いたいかといえば、世の中は所有からシェアに変わって、不動産から可動産、住宅業界に車がどんどん侵入してきて、何かやらなきゃという所で、今、「移・食・住」ってイメージですね。

※MaaS(編注:マース:Mobility as a Serviceの略で、自動車を所有せず、使いたいときに利用するサービス)

タイムシェアハウスを間に入れて進めようとしています。じゃあこれどうしたらいいかって言ったら、インターフェースですね。

車の鍵、電車のSuicaとかPASMOとか、あと自動車の鍵、色んなものを持ち歩きますが、あれを1個で全部統一していければ一番便利なわけですよね。このプラットフォームを何とかできないかというので考えてます。これは未来ドアにもありますけど、そういうのに対応できる。

最終的には、顔認証、手ぶらで顔があるだけで電車に乗れて、カーシェアリングに乗れて、家に入れて、買い物もできるような、その中のこれから変わっていく仕組みの中に、建材を入れていかなきゃいけないというのでいろいろ考えてます。

重松 ありがとうございます。